右侵奪(うしんだつ)とは?意味と語源をわかりやすく解説
右侵奪(うしんだつ)とは?意味と語源をわかりやすく解説
右侵奪(うしんだつ)とは、日本の民法における法律用語で、主に「占有を侵奪された(奪われた)状態」を意味します。特に民法第200条において重要な概念であり、「占有回収の訴え」が可能となる条件の一つとされています。
「右侵奪」の「右(みぎ)」とは?
「右侵奪」の「右(う)」は、「左・右」の右ではなく、文語的な用法です。文語体では「右=この」「当該の」「前に述べた内容」といった意味で使われます。
たとえば、法律文書では「右の規定」「右の事実」などの形で登場し、すでに述べた内容を指す表現です。つまり、「右侵奪」とは「前述の侵奪」または「当該の侵奪」を意味する言い回しなのです。
そのため、「右侵奪」は「特定の文脈で述べられた侵奪行為」のことを、形式的・丁寧に指し示す法律的表現であると言えます。
右侵奪の意味
具体的には、他人の不法な行為によって、自分の占有(物を支配する状態)を奪われた場合に、この言葉が使われます。これは単なる迷惑行為や損害ではなく、実際に物の支配を失った場合を指します。
占有侵奪の成立要件
占有を侵奪されたと認められるためには、以下のような要件が必要です。
- 占有の存在:物に対して事実上の支配があったこと
- 意思に反する喪失:自分の意思に反してその占有を失ったこと
- 不法性:奪った相手の行為が違法であること(例:無断で持ち去るなど)
民法第200条との関係
民法第200条第1項では、次のように規定されています。
占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。
この「占有を奪われたとき」が、まさに右侵奪を意味する場面です。奪われた占有を取り戻す法的手段として、占有回収の訴えが認められています。
具体例
たとえば、あなたが自転車をマンションの敷地内に停めていたところ、誰かが勝手に持ち去った場合、これは「占有を侵奪された」状態=右侵奪に該当します。このとき、持ち去った人物に対して「占有回収の訴え」によって返還や損害賠償を求めることが可能です。
まとめ
右侵奪(うしんだつ)とは、「前述の侵奪」「当該の侵奪」といった文語的な意味を持つ表現で、民法200条における「占有を奪われた状態」を形式的に表した法律用語です。不法に自分の占有を奪われたときに、その状態を表す重要な言葉であり、法的な対抗手段である「占有回収の訴え」の根拠にもなります。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません